2008年7月4日金曜日

俺は用心棒 第二十二話 見知らぬ旅の客

見知らぬ旅の客

寒空の川っぷちで、バーベキューに興じる旦那二人。

うっ!
雪深い里と、結束脚本
これは。

「天を斬る」でも
「雪割人形」「春の祈り」
などで証明済みの、勝利の方程式ではないのか?
OPの映像だけでキそうな予感。

いわくありげな三人連れの侍の道中シーンにつづき、
わらじを伏線に、
山里の藁職人の老夫婦の家で、新太登場。
親爺の台詞が、全部伏線といってもいい出来。
いつもながら会心の前フリだ。

つづいて、脱走者を追い、丹波路を行く
新選組の沖田くんと山崎さんほか二名。
ちょっと、沖田みずから出張なんて、
京の治安は大丈夫なのか?
視聴者の中だるみを許さない念の入り様だ。

舌先三寸で、女三人が留守を守る民家に潜伏する
三人連れ。
まったく、攘夷に走る一部の弁舌の徒といったら。

ここで 猫村さん 猫が、なかなかいい演技をしている。
炉端でまったりしていたのに、何だか不穏な空気を察してか、
自然にフェードアウトしていく。

開始後14分、
おや?
川べりで呑気な煙が上がっているところに人影?
おなじみの、ほのぼのミュージックと共に、
われらが万平旦那登場!!
釣れたらしいイワナを、とりあえず4匹焼いている。

ここで、結束組痛恨の演出ミス疑惑。
厚い雪に「ずぼっ」もひとつ「ずぼっ」と、
足をとられる野良犬の旦那。

そりゃーさ、ぬかるみの雪道はもっとNGだけど、
あの美貌で「ずぼっ」も、よくないよー。
だがしかし、
雪の中の野良犬の旦那は、
いつもの三乗は見目麗しく映っているので許す。

ここで、
「たいしたもんだろう」
と自慢する万平旦那、
数ではなく、焼き加減の腕前をしきりに自慢する。

串焼き三年?ちょっと調べてみたけど、出典が不明。
万平旦那、もうちょっとヒントお願いします。

せっかく万平旦那が焼いた魚を食べずに、
雪なんか食べてる野良犬の旦那。
そんなに酒がゲットできなかったのが残念なのか?
液体じゃないとだめなのか?
てゆーか、酒ってすでに水代わりのポジションなのか?

そんな野良犬に構わず、
万平旦那は「大根おろしがほしい」などと、
のんきにグルメなことを言っている。

ここで、繰り返し鑑賞すると、
「火」も、万平エピソードとして要チェック。
ラストの火縄銃のくだりで、
逃走中とはいえ、
侍の道中に火打石は標準装備ではないのかも知れないというシーン。

すると万平旦那、あの人里離れた河原で、
バーベキューの、どうしたのだ?

料理人を自負する万平旦那が、縄文式火おこしをするとは思えん。
きっと、素寒貧に見えるあの懐には、
火打石が入っていると見た。
品田メモに追加だ。


それはさておき、まんまと民家に潜伏した
三人連れの侍は、
当然のようにもてなしを受けているうちに、
女たちから次第に疑念の目を向けられる。

一方、万平旦那は藁職人の老夫婦の家に。
イワナを手土産に、一夜の宿を乞う。
ここで、はじめイワナを後ろ手に隠しているのが、
さすがネゴシエーター品田万平クオリティ。

親爺から
「よくみれば、お腰のものもないし
町の料理屋か何かにお越しで?」
と問われて、満更でもないうえに、

嬉しさのあまり野良犬の旦那に
自分の特技を大いに自慢し、
「今後は認識を改めてもらう。いいな?」
と、高らかに宣言する万平旦那

が、

思いがけず、酒が振舞われて、
がっくり「技あり」
これがこれで終わらず、またサービスシーンに繋がるのが
結束の罠

そこへ
例の留守宅の主人らしき人物が殺されている!
という急報が老夫婦の家に届く。

・・・なのに、こら、あんたたち
野良犬の旦那は、さっそく酒甕の蓋あけてるし、
万平旦那はイワナの焼き加減が気になって仕方がない。
けれど、二人とも、しっかり聞き耳だけは立てている感じはさすがだ。

この辺から、篭城モノになっていく。
一気に緊迫する民家の中。
若侍の下衆な台詞や、女相手に腕づくな無様さを見せたあと、

さわやかに沖田登場!
万平旦那にイワナを勧められても、
手をつけようとしない沖田。
そりゃ、勤務中ということもあるだろうけれど。

女たちを人質にとり、
自分の置かれている状況も忘れて
後家の生足に劣情を催す場面。

悪のレッテルを貼る場面と見るよりも、
この者が、身なりは武士だが、
精神的には本当の武士ではないことを視聴者に晒し、
浪人風情の二人連れの方がよっぽど武士、な対比を狙ったと
見るべきか。

追っ手が、あのストイックな沖田なものだから、
その醜悪さが、なおさら強調されている。
うまい。うまいぞ結束。

ここで、人質の安全確保を最優先とするフォーメーションで、
野良犬の旦那、一芸の披露を宣言。
「認識をあらためてもらう」
と、万平旦那に意趣返し。
シリアスな場面でもピリリと
ファンサービスの小技を効かせる、さすが結束、やってくれる。
毎回、ファン心理を見透かされているぅー。

そして、おいしい役どころで再登場の新太!
しかも、色男ぶりも発揮。

ミッションを果たし、
「去るものは追わず、だってさ」と、
かえって行く沖田君。
その屯営には、野良犬の旦那顔の副長さんが
居るのかと思うのもまた一興。

あーっと、ここで手元の時計で約45分経過。ロスタイムです。
と、安心するのはまだ早かった。
棺おけが二つ。
まさか。

万平旦那が、視聴者の不安を裏付けて、ビターエンド。
あーもー。
でも、ファンサービスシーン満載の一本。
技あり。

2 件のコメント:

  1. こんばんは
    かもんさんの解説さえていますね。
    いつもながらの暗い作品テーマなんですが、野良犬の旦那、万平旦那、沖田も加えて会話の妙味がいいと思っていました。
    つまりかもんさん云うところの意趣返しが多いのが、笑いとは云えないけど作品に明るさを与えているように思いました。
    脱走隊士の下品さは、わら職人のオヤジさんの応対でわかりますね。
    新太、最初出てきて、最後にまた出てくるところ。モテモテぶりを披露しますが,これも意趣返し、沖田が名乗りをあげたのちの表情面白いですね。また新太の正体を知っている野良犬の表情も面白かったですね。
     しかし、最後は結束流ビターエンドに終わってしまった。
     そうそう、野良犬の旦那が雪を食べるところ、私も笑ってしまいました。

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  2. 大炊かもん2008年7月6日 9:27

    おはようございます。
    コメントありがとうございます。
    いやしかし、OPの美しい雪山と湖のロケ地が
    「時代劇の風景」様でも分からなくて残念!
    >沖田が名乗りをあげたのちの表情面白いですね
    あの新太が、まさに風を喰らって逃げるのも、
    またファンサービスでしたね。
    >野良犬の旦那が雪を食べるところ、私も笑ってしまいました。
    ほんとに、水なら、背後にキレイそうなのが流れてるのに。
    と、その物臭加減にも笑ってしまいます。

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