2008年9月16日火曜日

帰って来た用心棒 第二十六話 狂気の夜

平然と毒物を飲み下す万平旦那
毒物を飲み下す万平旦那 ヒー

細かいところまで演技の手を抜かない
左右田一平さん。

左目尻の深い皺をご覧あれ!

湯飲みと手で、顔がほとんど隠れちゃうのに、
ほんの数秒うつるこの皺だけで、
毒を飲まされているシリアスな状況がアリアリ。
グッジョブ。

前日に予告されていたので、初見の日は、もー、
万平ファンは冒頭からハラハラの巻です。

しかし、さすがは万平旦那
天地正大流リスクマネジメント術 全開!
番所訪問から不審な男確保まで、品田万平
実に4分30秒の独壇場

万平旦那、さすがだ! としか言えん。
番所の戸を閉めてから、ただの時間稼ぎの応酬と思いきや、
冷静に短銃を観察し、連発式ではないことを
看破した上での、計算済みの対応。


想定外かつ、不利な状況からの一発逆転。
毎回、天地正大流には学ぶべき点が多い。

実は、皆様お気づきのとおり、この回は、
前日の予告編のナレーションで
既に充分に語り尽くされている。

「狂気の沙汰が夜の京都を巻き込み、
 なぜ人が殺されていくのか、誰も分からない。
 ただ大勢の人が意味もなく、その命を奪われていく。

 闇を裂いて轟く銃声、
 浪人は殺気を漲らせて走り、
 田島次郎は怒りを迸り、
 品田万平は平然と毒物を飲み下す。

 無頼の男たちは誇らしげに、狂気の夜を売り渡そうと企む。

 街の片隅に女たちだけの小さな宴が開かれるとき、
 その夫たちは恐怖のどん底に落ち込む。

 幕末非情の夜が明けた時、持ち主を失った一つの包みが
 虚しく引き取り人を待っている。」


この、狂気のテロの一話を、実によく物語っている上に、
実は今もどこかで同様の事件が起きているに違いない、
恐ろしい確信が背中合わせに迫ってきます。

このナレーション、人名や一部を除けば、
ニュースとして報道されていても不思議はない。
「フィクションです」と、言い切れない。

三人の浪人の会話が、この状況を端的に物語る。
田島次郎「まるで人殺しの意味が分からない」
謎の浪人「意味はある。大勢殺したと言うことだ」
品田万平「何だか知らんが、狂気の沙汰としか思えん」


せめて品田万平の飄々ぶりと、
青木・千造・十吉とその女房達のコミカルさに、
そっとくるんで、お茶の間に届けてくれたのは、
結束先生の慈悲とも思える。

我々弱い人間は、いくら時代が下ろうとも、
狂気に転落する危うさを永久に孕み続けるであろうことを、
静かに示されているような、怖い一話です。

サイドストーリーの、女たちの宴会、
ラストで夫達のもとへ駆けつけさせ、
その無事な姿を見せて、視聴者とともに
安堵を分かち合うための伏線だったかと、

いつもながら、巧妙な結束の罠に嵌められた。

不気味なほどの深さとともに、技あり、
いや、一本でしょう。一本!!

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