2008年8月6日水曜日

俺は用心棒 最終回 乱れ雲

天地正大流あやしげ雑炊レシピ。
万平旦那、家伝の雑炊レシピ披露中

人影の絶えた京洛をひた走る千造、
早速ファンサービスから。

ロングショットだと、はじめ小田部通麿さんって、
分からないのだが、後ろ姿になると、急に
「千造か?」
と、目星がつくのは何故なのか。
走る後姿のシルエットが、羽織着て、裾からげて、蟹股で、
何となく、ルパンや次元な感じが特徴的。

青木同心と千造の別れのシーン
あー、当時、こういう別れをした人たちが、
どれほどいたことか・・・と、シンミリ。

時は鳥羽伏見あたり、そして沖田の消息も匂わせる
いつもの、無駄も隙もない、結束磐石の前振り

ところかわって、
洛中の居酒屋「みの吉」で、ひとり呑んだくれている野良犬の旦那。
「千客万来」の飾り額が、ちくりと皮肉っぽい。

野良犬の旦那、最終回とあってか、
初っ端から、猛烈なフェロモンビーム!
ご覧じたか、このノリノリの勝負メークを!!!!!

と、
毎回その美貌を絶賛している当ブログですが、
実は
ほぼスッピン(ドーランは塗っている)
だったということを、
時専の「旭の部屋」で今日知った遅耳。恐れ入りました。

亭主は、早く店をたたんで避難したくてガクガクブルブル。
「もう堪忍しておくれやす」
でも万平旦那と待ち合わせているので、
砲声の中、悠然と呑み続ける野良犬の旦那。

そこへ
天地正大流 品田万平登場!
何をしにいったのか、戦乱の巷からひょっこり帰り、
武力衝突を、まるで他人事のように評するだけでなく、
店の亭主に金儲けと人助けを兼ねるプランを
もちかけたりしている。

そこへ、西田良さん扮する山崎さん登場!
中立・無関係ポジションを主張するも、
結果的に山崎を庇った形になった
野良犬の旦那と万平旦那は、ここで沖田の消息を知る。

新選組云々の話のとき、
野良犬の旦那、右脇に立てかけた大刀が、
ちょっと不安定で、右肘でこっそり気にしながら
演技を続けているのが、何だかいじらしい。
スケジュール押してたのかなー。

そして沖田はといえば、
伏見の奉行所の役人の後家の家に匿われていた。
しかし居所を悟られ、薩摩の陣地に密告されたところ。

密告者に徳大寺伸さん。
血風録での原田役。ファンサービスてんこ盛り。

薩摩の侍に踏み込まれ、沖田、絶体絶命の大ピンチに
野良犬の旦那が駆けつける。
つづいてシリアスシーンには今や欠かせない男
われらが品田万平登場。
家伝の雑炊レシピを披露しながら沖田を元気付ける。

ねぎ、韮、にんにく、ほか13種類の和漢生薬入り?
・・・朝鮮人参系の、あのほろ苦くて、
食後に何か体温上がるような、あんな味を想像。美味とは言い難そうだ。

さらに長州に売られる沖田。
それを見越して、お得意の取引で船を調達し、
沖田と万平旦那 (雑炊入りの鍋つき)を落ち延びさせる
野良犬の旦那。


万平旦那
のラストコメントのひとつ、
「どうなるか知らんが、
 てめえの住んでいるまわりだけでも、
 住みよくするしかねぇ」

おそらく、現代でも、22世紀も、その先も、不動の真実。


野良犬の旦那は大阪や江戸へ行く積極的理由はなく、
後家に迫る危険を未然に防ぐ道を選ぶ。
そして思いがけず、野良犬もついに
安住の地を得るのかと
思いきや

やっぱり?
やっぱり??
野良犬は野良犬で居なければならないのか?

そして、不慮の事故死の後家を連れ帰る、ここで
「この男、どこへ行くのか、誰も知らない」
であっても、
用心棒シリーズ1stシーズンの最終回としては、
文句なしのところ。


千造捕縛で、どこからともなく野良犬の旦那が現れ、
「町の片隅に生きている者の、用心棒だ」と、ピンチを救う。

この会心のラストシーンで、
「いつもの用心棒ストーリー」が、
見事にひとつにまとまります。

土方役が大当たりしたあとで、栗塚氏に、
佐幕も勤皇もない、名前すらもない、野良犬の旦那という
役柄を与え、演じさせたこのドラマ。

組織とは、武士道とは、男の美学とは
といったテーマを背負い、現代でも絶大な人気を誇る
土方歳三とは、全く異なるポジションと価値観で行動する
野良犬の旦那を、土方の顔で演じさせた。

これは企画段階から意図していたかどうかは分からないが、
野良犬には、土方役のように、史実や立場という枷はない。
この最終回で、このアテガキが、
大きく奏功していると思えてなりません。

土方と野良犬、二人の数少ない共通点ともいえる、
幕末という時代背景で、信念にもとづき、不屈の精神で行動する
これを動機にした生き様の、なんと大きく異なることかと、
どちらが可でも否でもなく、
お茶の間に、名も素性も不明な浪人の人生を、
鮮やかに印象付ける最終回。

そして、幕末と変わらず、
今、町の片隅に生きている私たち視聴者。

私たちには、都合よく野良犬の旦那が現れることはないが、
運がよければ、品田万平にめぐり合うことは
有りうるかもしれない、かすかな希望。

斎藤一という寡黙な剣豪役から一転、左右田一平氏に演じさせた、
徹頭徹尾、殺生をせず、いい加減にみえて、
なるべく機転で難をかわし、生活力に富む、この特異な無腰キャラ、
品田万平

登場当初は明確とはいえなかったキャラクターでしたが、
次第に
「もしかしたら実在の可能性を含む存在」
として、
結束先生が思い描いた人間像と、「救い」の形のひとつを
投影したのかも知れないと、1stシーズンを見終えて思います。


なお、皆様ご存知結束ドラマ古参ファンの
辰七さんも、この回についてレビューを書いておいでなので、
記事へのリンク貼らせていただきます。→http://kamada.exblog.jp/9176020/
小田部通麿さんエピソードは必読!


ところで、
帰ってキタ━(゚∀゚)━!!!ですね!

久々に野良犬の旦那を見たら、
暑気ならぬ色気にあたってしまいそうでした。
雄之助野良犬も、また別な意味での色気がありますが、
栗塚さん、やっぱり美貌と一挙手一投足が眩しい・・・!

捨て犬も悪くないが、お行儀よく爽やかなナイスガイ役は
やっぱり若き島田順司さんの当たり役。
何だか安心して見ていられます。

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なんかつい力が入って、絶叫百万遍。
いつものことながら長文失礼つかまつりました。



ちなみに若き日の扇千景さん。

島田さんのみならず、栗塚さんとも共演!!
しかもラストで栗塚さんにお姫様だっこされちゃうなんて。
この頃は、将来、大臣の椅子に座るなんて、お釈迦様でも何とやら。

3 件のコメント:

  1. 最終回泣きました~
    (T_T)
    野良犬の旦那の扇千景さんを見つめる顔や最後に行くあてなく去ってゆく背中は男の哀愁バリバリですな~!!
    『俺は用心棒』は幕末という時代を通し、現代の人々に向けて、日々を平和に過ごしていけるという事のありがたさを感じてほしかったのではと勝手に想像しております。
    そして万平ファンとして注目しておかなけれぱならないのは、やはりあの天地正大流秘伝の雑炊レシピではないでしょうか!これさえあれば新型インフルエンザも怖くね~!
    一刻もはやくこのレシピを現代社会に普及させなければという思いにかられております。
    ただ船まで鍋を持ちこんでるのを見たときは、もう雑炊冷めきっとるぞ、とついついツッコミを入れてしまいました(笑)
    長くなりましたが帰ってきた用心棒も始まりましたし、引き続きレビュー楽しみにしてます。僕としては待っていた用心棒の第二十三話、少年の為に万平旦那が大活躍して奇跡のハッピーエンドを迎えたこの回のレビューをぜひ書いて頂ければと期待してますm(__)m

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  2. おはようございます。
    待っていました、この回のレビュー、かもんさん
    はじめまして、ヒロさん。ときどきお邪魔させていただいています、辰七と申します。以後おひきたてよろしく。
    この回の展開長編ドラマの要素あるのに、びっしと1時間ドラマの枠におさめているのに、結束、河野コンビのすごさ、感じますね。万平旦那の「手前のまわりだけでも・・・」の言葉好きですね。沖田の「負け犬にされちゃった。」っていいながら野良犬、万平旦那の救出に感謝するところもいいな。この回、一部の隙ないほど山ほど、名台詞あるんですね(笑)。このへんにしておきます(笑)。
     わが連れ合い、土方と野良犬の旦那の違い一言て云っております。「土方さんは集団で戦う人。野良犬の旦那は一人で戦う人。」一発で云われ苦笑(笑)。
     かもんさん、頼みっせ、他の回のレビューも待っていまっせ。

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  3. 大炊かもん2008年8月7日 19:22

    ヒロさん こんばんわ、いらしゃいませー。
    >扇千景さんを見つめる顔や最後に行くあてなく去ってゆく
    >背中は男の哀愁
    なーるほど!男性視点で見ると、ここも名場面ですね。
    振り返れば、
    「おなごでも野良犬になれまっしゃろか」
    なんて感じのことを言ったおなごは、
    野良犬の旦那も初めてだったかも。
    それだけに不慮の別れは辛すぎ(>_<。
    >天地正大流秘伝の雑炊レシピ
    今なら病院給食として先着十万食をおためし納入である。
    これで玄妙館の建て直しに光明ダ。京都支部も夢ではない。
    >もう雑炊冷めきっとるぞ
    しかも、何となく沖田やっぱり食べたくなさげ・・・。
    第四話での、野良犬の旦那の「旨くはない」が
    思い出されます。
    >万平旦那が大活躍して奇跡のハッピーエンド
    この回は、フライングして書いてしまいそうだったのを、
    先々の楽しみに、実はぐっとこらえてました。
    久々にしいちゃん(岩村百合子ちゃん)との絡みもあったし、
    左右田ファン欣喜雀躍の巻ですよね。
    狂犬も良かったし。
    辰七さん こんばんわ、いらっしゃいませー。
    >長編ドラマの要素あるのに、びっしと1時間ドラマの枠に
    >おさめているのに
    無駄も隙もないのに、詰め込み感まったくなし、
    むしろ余裕すら(特に、千造捕縛シーン)感じる、
    結束マジックとしか思えません。
    奥様の土方・野良犬評、
    うーん的確です。なるほどです。一本!
    >他の回のレビューも待っていまっせ。
    いやぁ、千造はんの口調で書かはったら、
    ええ気分になって、まぁた左右田ラヴ百万遍
    叫んでしまうぅ、どないしよ
    辰七さんも、ぜひぜひ当時のエピソードなど、われら
    若輩ファンどもにご披露ください。

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